あたしたちは山内先生の車で、学校に連れて行かれた。
那智の自転車を積んだ車内はせまく、息苦しかった。
「今朝、神木のお母さんから学校に電話があったんだ。ちゃんとふたりが登校してるか?って」
山内先生の言葉を聞き流しながら、あたしは遠ざかる海をぼんやりとながめていた。
学校に着くと、あたしたちは職員室の奥の小さな部屋に入れられた。
向かい合って並んだふたつのソファが目に入る。
かすかにコーヒーの匂いが漂う部屋は、なんだか学校の中という感じがしなかった。
「神木」
反省の色もなく、ふてぶてしく腰をおろした那智に、先生が厳しい顔をした。
「お前は、どうしてそうなんだ。いつも周りを見下した態度で」
先生の声には、憐れみのようなものが滲んでいる気がした。