「や…っ」


とっさに手を払ってしまった。


うつむいた視界のはしで、那智の笑みが消えたのがわかった。


「…あ……」


ごめん、と言おうとしたけれど声が出ない。


脳裏に焼き付いたさっきの光景。

おさえきれない違和感が、あたしの胸に広がっていく。


そのとき。



「おいっ、お前らー!」



道路の方から声が響いた。



「こんな所で何やってんだ。今は学校の時間だろ!」



怒鳴りながら車を降りてきたのは、体育の山内先生だ。



「……そっちこそ学校の時間やんけ」



那智がうざそうに舌打ちした。