あたしたちは裸足になり、砂浜を少し歩いた。
波の音を聴いていると、那智と出逢ったあの島を思い出した。
星名島。
那智が生まれ育った島。
あの強烈な日差しや潮の匂いを、那智も今、思い出しているんだろうか。
波打ち際でどちらからともなく足を止め、もう一度砂浜に仰向けで寝転んだ。
一睡もしていなかった体はすぐにまどろみに引き込まれ、
あたしと那智は手をつないだまま、眠りに落ちた。
目を覚ましたのは、まぶたを突き抜ける光のせいだった。
ゆっくり目を開けると、太陽はいつのまにか真上に昇り、あたしたちを正面から照らしていた。
「もう昼やんけ」
ほぼ同時に目覚めたのか、隣の那智がつぶやく。
そのかすれた声を、色っぽいと思った。