「……でもさ、那智」
「ん?」
「昨日……お父さんの話聞きながら、笑ってたでしょ? 楽しくないのに」
「んー。あぁ」
「あれって、なんでなの?」
しばらく返事がなかったので、あたしは那智の方に顔を向けた。
那智のキレイな横顔のむこうに、90度回転した風景が広がっていた。
「……俺が、今まで思ってたことと、現実が違ったから」
淡々とした声。
だけどその言葉がどういう意味なのか、あたしにはよくわからない。
「昨日、お前のオトンの口から、あいつらの過去を聞いたやろ?」
「うん」
「4年前の葬式で再会して、そこからまた繋がり始めたって言うてたやん」
「うん」