こんな想いを、あたしはいつから抱えていたのだろう。
もしかしたら、初めて会ったときからずっとだろうか。
出逢いは3年前の夏。
那智が暮らしていた、あの小さな絶海の島で。
12歳と11歳。
あたしたちは、幼かった。
だけどオトナとかコドモとか、男とか女とか
そんなものとは無関係に
あたしは那智が持つ引力に
ただ惹かれた。
『……藍。お前には言ってなかったけど、親戚の家族がA県にいるんだ。一度、会いに行ってみないか?』
夏休みを前に、突然お父さんからそんなことを言われた日。
これが自分の運命を変えるキッカケになるなんて
そのときのあたしは、思いもしなかった。