「藍……」
あたしは床に座り込んだまま、体を震わせた。
こみあげる激情の行き場がなくて、手のひらに力がこもる。
スカートから露わになった自分の太ももに、無意識にきつく爪を立てた。
「藍、やめなさい。そんなことしたら血が出る」
お父さんがあわてて部屋に入ってきたけれど、あたしは制止の声を聞かず、さらに爪をめりこませた。
「そんなに再婚に反対なら、もう一度4人で話し合おう。な?」
なだめるように、お父さんがあたしの腕をつかみかけたとき。
他の手が、それをはねのけた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…