映画館に入る手前、紗耶香が私を見た。


ついに、この時がきたか…。


私はわざとらしく、「親から電話だ」
と、少し離れた場所へ移動した。


かかってきてもいない電話に出るふりをした。


演技力は自信がないので、うなずくふりをしながら2人に背を向けた。


あぁ、何やってるんだろう…