「光、なんでなんで?」

好奇心旺盛な紗耶香が質問ぜめにしてきた。


私には余裕がない。


胸が苦しい。


まだ彼女がつけていた香水のいい香りを感じる。


それでもやめようとしない紗耶香を黙らせるには、これしかないと思い、私は言った。



「今度さ、まさくん誘って三人で遊びに行こっか。ウチ、途中で消えてあげるからさ」



とたんに紗耶香の頭の中は、正彦でいっぱいになったようだ。




帰り道は、紗耶香が正彦をどんなに好きかを延々聞かされるハメになった。