飲み屋街のはずれに、その店はあった。


『スナック 夏風』

と、書いてある。店は新しそうだが、とても小さなスペースのようだった。



「なんでこの店探してたの?」


無邪気に尋ねる紗耶香がうっとうしく感じてしまう。正彦を好きだと言われるまでは、ただの仲の良い親友だったのに。


私も正彦を好きだと知ったら、紗耶香、どんな顔するのだろう。


「ちょっと、どんな人が働いているのか気になってね」

私は、言った。


その時、突然後ろから

「こんにちは」

と声をかけられて、私たちは飛び上がった。