正彦が左手を伸ばして、私の肩を抱き寄せた。


今までで一番正彦が近いのが分かる。


ありがとう、と言ったがうまく声にならない。



「いいよ、黙って泣いとけ」

正彦の言葉は、体を通じて聞こえてくるようだった。




私は、正彦をそばに感じながら、心ゆくまで号泣した。