「私さ、好きな人できたんだよね」


紗耶香が言った言葉に思わず足がとまる。



「…それって、まさくんだったりする?」



なんとなく、そんな気がしてたから。



紗耶香は、「誰にも言わないで」と前置きをしてから小さくうなずいた。



「そっかぁ、そんな好きになってたなんて気づかなかったよ」


また、嘘を重ねた。


立場上、協力することになるのは明確だろう。


あぁ、なんで1人で来なかったんだろう、と自分を責めた。