市営プールは、ものすごい人だった。


子供から高齢者まで、この街にはこんなに人がいたのか、と思うほどの人気だ。



そして私は今、なぜかプールそばのベンチで、正彦に宿題を見せていた。


「ね~、せっかくプールきたんだし泳ごうよ」


ふくれっ面の私などまったく気にしている様子もなく、正彦は宿題を写している。


「家に帰ってから写せばいいのに」


そういう私に正彦は

「オレの性格だと、家じゃ百パーやらないだろ」

と、なぜか自慢げに言っている。