「ちょっと駅にね。まさくん部活でしょ?」


「いや、今日からお盆休み」


「じゃあなんでそんな格好なの?」


正彦は、ジャージにテニスラケットを背負っていた。


「いや、暇だし学校のコートで練習しよっかなって…。良かったら付き合おうか?」


…本来なら断るべきなのだろう。


でも、私はナツのことが心配で仕方がない反面、正彦に久々に会えたうれしさと、そばにいてほしい寂しさが入り混じっていた。


「じゃ、付き合って」

私が口にしたのは、そんな言葉だった。