午後の校舎の中は思ったより涼しかった。


夏休みの学校は人もまばらで、校庭では部活に励む声が小さく聞こえている。


保健室のドアを開けると、猿沢が机に突っ伏して寝ていた。



「ほんっと、よく寝ますね」

あきれて言うと、ビクッと揺れた後、のそのそとゾンビのように猿沢が顔を上げた。




今日は登校日である。

といっても、教室のクラスメイトの登校日は明日なのだが、私が急遽旅行にいくことになったので、猿沢が都合をつけてくれたのだ。