「ちなも、告白するの? 高校別々でしょ」
「う、うん、したい、かな」

 ハッキリと口にするのは後ろめたさと恥ずかしさがあった。

濁すように答えたけれど、紗耶香もわたしの気持ちを察しているのか「悩むよねえ」と答えるだけ。

 そうだよね。でも、わたしは、なんで悩んでいるのだろう。

 だって未来を知っているし、変えられることもわかっている。だったら、正しい道を選べばいいだけなのに、それすらも戸惑っているのは、どうしてだろう。

思い描いたようなものになっていかない。こうすれば、と思ったことをしているはずなのに。

「勝とうね!」
「お、どうしたのちな、やる気じゃん」
「景品ほしいんだもん」

 記憶の中ではたしか準優勝だった。

けれど、変えられる。必死に目標に向かって取り組めば、結果を得られるはず。

まだ、できることはたくさんあるのだから、卒業までのあと数日、諦めるわけにはいかないんだ。



 とは思ったけれど、一試合目、わたしは一番にボールにあたってしまい早々に外野に追い出されてしまった。

なんとか誰かに当てようと頑張ってボールを投げたものの、避けられるかあっさりとキャッチされるか。


 わたし、運動神経そんなに悪くなかったはずなのにな。体は一五歳でも、脳が年をとると体の動きも鈍くなるんだろうか。

ただ、なんとかクラスは勝利をおさめることができた。

「どーしたのちな、今日鈍くない?」

 ぐさっと刺さる一言。やっぱり多少運動はしたほうがいいかもしれない。大学に入ったら今度はサークルにでも入ろうかな。

 朝は寒くてこんな中で動けないと思っていたけれど、走り回っていれば体がぽかぽかに温まって、ジャージが暑いくらいだった。

 数試合を終えてお昼を食べるために教室に戻ってから、残りの試合を済ませた。

 わたしたちの四組は、一試合負けたけれど結果は優勝だった。結果発表を聞いてみんなで飛び上がるほど喜んで、景品のジュースと駄菓子ひとつを受け取る。

ジュースかよ、と文句を言っている男子もいたけれど、運動したからかみんな美味しそうに飲んでいた。

「喉痛いー」
「ちな結構叫んでたもんねー。後半大活躍だったし!」

「はしゃぎ過ぎちゃったなあ」恥ずかしくなって笑うと、「でもちならしい」とケラケラと紗耶香が笑う。