なんで、このふたりが幹事をしているのだろう。
紗耶香は、このことも知っていたはずだ。でも、そんなことは一言も言わなかった。いや、きっと言えなかったのだろう。
わたしとセイちゃんが、絶縁状態になったきっかけのひとつの、今坂くんが、セイちゃんと一緒に幹事だなんて。
ふたりは今、どういう関係なのだろう。一緒に幹事をするくらいだからそうとう親しい関係なのだろうか。もしかすると、付き合っていたりするのかもしれない。
いつから、どうして?
今更こんなことを気にしている自分のことも信じられなかった。
もう、とっくに終わったことだ。今は、幸登という彼氏だっている。なのに、どうしてこんなに泣きたくなるんだろう。胸が、痛むんだろう。
わたしの、初恋の人。
覚えている。あの頃の気持ちを、わたしは忘れられないでいる。セイちゃんに対する特別な友情も、今坂くんに抱いたキラキラ輝く恋心を。当時の思い出が色を帯びて鮮明に甦る。
好きだった。本当に、大好きだった。
大切だった。誰よりも、特別な存在だった。
背を反らしてベッドにもたれかかり瞼をゆっくりと落とした。
セイちゃんは今、どんなふうにおとなになったのだろう。あの頃と変わらず明るくて、よく笑って、一生懸命に過ごしているような気がする。セイちゃんはいつだって前向きで、堂々としていて、友達を大事にする女の子だった。人見知りすることなく、多くの友達に囲まれていた。
今坂くんは今もバスケを続けているのだろうか。当時はクラスで一番背が高くて、切れ長の一目で、笑うと線みたいに細くなる。落ち着いた雰囲気を纏っているのに、くしゃりと顔を崩して笑うのが、好きだった。その笑顔が、好きだった。
同窓会に参加すれば、幹事のふたりには必ず会えるだろう。
セイちゃんは、今坂くんは、あれから五年経ってどんなふうに変わったのだろうか。
一五歳から、二十歳になったふたりを想像しようとしたけれど、やっぱり浮かんでくるのは一五歳の姿だ。高校で離れてから、一度も会っていないふたりの今の姿は、全くイメージが湧いてこない。
会いたい。
会って、昔のように話して、笑い合いたい。
顔を見るだけで、言葉をかわすだけで、幸せな気持ちになれたあの頃。
でも、やっぱり会いたくない。
だって、わたしはふたりに、本当に酷いことをしてしまった。もしかすると、みんな歳を重ねて、それなりに思い出話にできるようになったかもしれない。懐かしいね、なんて言ってグラスを鳴らすことだってできる。けれど、あの頃のようには戻れないのを、わかっている。
「戻りたいのか、わたしは」
今、会いたいわけじゃない。わたしは、あの、一五歳の頃に戻りたいんだ。