「黒瀬、おはよう」
「ああ、おはよう」
よし、今日はちゃんと黒瀬から挨拶が返ってきた。
ボッチ同盟を組んでから二日経ったが、昨日は返事だけだった。
それだけ俺のことは慣れてきたのだろう。
「クローズ、おはよう!」
「「あっ……ああ」」
それでも相変わらず高橋の挨拶は返事すらやっとだ。
それに毎回呼び名が変わるから反応しづらい。
この間はくろちんって言ってたっけ。
「なぁ、クローズってどういうことだ?」
「いや、あいつら黒川と黒瀬のクロクロコンビだろ!」
「またバカのような名前の付け方だな」
俺たちを話題にしているが、特に俺らが会話に入ることもない。
特に話を振ってくるわけでもないからね。
話題のネタとして使われるぐらいだろう。
「なぁ、今日の体力テストだけど、黒瀬って運動できるほうだよね?」
「ああ、人並みには」
「忍者みたいに消えるのが人並みって……」
黒瀬からジーッと見つめられているような視線を感じる。
だが、目が見えないから、わかりづらいんだよな。
俺は黒瀬の顔に手を伸ばして、前髪を上げた。
「やっぱり目が合ってた」
「やめろ」
目を見られるのが恥ずかしいのか、黒瀬は視線を外した。
手を振り払おうとしたが、その手は途中で止まっていた。
「あー、ごめん。いつも目が合っているような気はしていたから気になっただけ」
俺は手を下ろした。
言葉に反応することもなく、黒瀬の顔は無表情のままだ。
「せっかく顔立ちいいから、目を出せばいいのに……」
眉はややつり上がっているが、目元は切れ長で、目尻がほんの少し下がったタレ目をしていた。
奥二重気味の重いまぶたと相まって、黙っていると近寄りがたい印象なのは熊って感じだな。
でも、よく見ると整った顔立ちだし、鼻筋が通って、唇も薄いからモテそうなのにもったいない。
俺なんて平凡な顔立ちで生まれたからな。
「お前ら席につけよー」
チャイムが鳴る前に担任の先生が教室に入ってきた。
俺もそのまま体の向きを変えて座る。
だが、背中から視線をまだ感じる。
無理やり前髪を上げたのがいけなかったのだろうか。
それなら手を振り払うはずなんだけど……。
相変わらず俺は黒瀬のことでモヤモヤとしていた。
「一組から順番ずつに着替えるから、女子は更衣室に移動して戻ってこいよ」
「先生、男子は!」
高橋が手を挙げて質問をする。
「もちろん教室だ。そもそもお前たち十人しかいないだろ!」
「えー、俺らも更衣室に移動しながらキャッキャしたかった」
「はいはい……」
高橋の言葉に先生は呆れていた。
更衣室に移動している女子生徒たちは楽しそうに話している。
むしろ男子は移動せずに着替えられるから、楽な気がするけど高橋にとっては違うのだろう。
「お前らも早く着替えろよ」
そう言って、担任の先生は職員室に戻って行った。
女子生徒がいなくなったタイミングで俺たちも着替えていく。
相変わらず黒瀬から視線を感じるが、やはり謝るべきなんだろうか。
これから体力テストで半日は一緒に行動することになっているからな。
「黒瀬……」
俺が黒瀬に目を向けると、顔を背けて視線を逸らした。
さっきまでずーっと見ていたのに。
少し腹立った俺は着替えているところを見つめ返す。
だが、相変わらずのスタイルの良さにさらに腹が立ちそうだ。
「鍛えてないのに羨ましい腹筋しているな」
はっきりと分かれた腹筋を軽く叩く。
そういえば、体格について触れると、黒瀬は怒るんだった。
またやらかしたと思い、恐る恐る黒瀬の顔を覗き込む。
「あっ……」
だけど、前髪の隙間から見える目は笑っていた。
前と違って怒ってはいなさそうだ。
ボッチ同盟になっただけのことはある。
少しだけ距離感が近くなったから、今回は許してくれたのだろう。
「今日はずっとペアだからよろしく」
少し誤魔化すように手を引っ込める。
だけど、黒瀬はどこか寂しそうな顔をしていた。
何か気に障ることでも言ったのだろうか。
……うん。よくわからない。
やっぱりいまいち距離感が掴めないな。
「ああ、おはよう」
よし、今日はちゃんと黒瀬から挨拶が返ってきた。
ボッチ同盟を組んでから二日経ったが、昨日は返事だけだった。
それだけ俺のことは慣れてきたのだろう。
「クローズ、おはよう!」
「「あっ……ああ」」
それでも相変わらず高橋の挨拶は返事すらやっとだ。
それに毎回呼び名が変わるから反応しづらい。
この間はくろちんって言ってたっけ。
「なぁ、クローズってどういうことだ?」
「いや、あいつら黒川と黒瀬のクロクロコンビだろ!」
「またバカのような名前の付け方だな」
俺たちを話題にしているが、特に俺らが会話に入ることもない。
特に話を振ってくるわけでもないからね。
話題のネタとして使われるぐらいだろう。
「なぁ、今日の体力テストだけど、黒瀬って運動できるほうだよね?」
「ああ、人並みには」
「忍者みたいに消えるのが人並みって……」
黒瀬からジーッと見つめられているような視線を感じる。
だが、目が見えないから、わかりづらいんだよな。
俺は黒瀬の顔に手を伸ばして、前髪を上げた。
「やっぱり目が合ってた」
「やめろ」
目を見られるのが恥ずかしいのか、黒瀬は視線を外した。
手を振り払おうとしたが、その手は途中で止まっていた。
「あー、ごめん。いつも目が合っているような気はしていたから気になっただけ」
俺は手を下ろした。
言葉に反応することもなく、黒瀬の顔は無表情のままだ。
「せっかく顔立ちいいから、目を出せばいいのに……」
眉はややつり上がっているが、目元は切れ長で、目尻がほんの少し下がったタレ目をしていた。
奥二重気味の重いまぶたと相まって、黙っていると近寄りがたい印象なのは熊って感じだな。
でも、よく見ると整った顔立ちだし、鼻筋が通って、唇も薄いからモテそうなのにもったいない。
俺なんて平凡な顔立ちで生まれたからな。
「お前ら席につけよー」
チャイムが鳴る前に担任の先生が教室に入ってきた。
俺もそのまま体の向きを変えて座る。
だが、背中から視線をまだ感じる。
無理やり前髪を上げたのがいけなかったのだろうか。
それなら手を振り払うはずなんだけど……。
相変わらず俺は黒瀬のことでモヤモヤとしていた。
「一組から順番ずつに着替えるから、女子は更衣室に移動して戻ってこいよ」
「先生、男子は!」
高橋が手を挙げて質問をする。
「もちろん教室だ。そもそもお前たち十人しかいないだろ!」
「えー、俺らも更衣室に移動しながらキャッキャしたかった」
「はいはい……」
高橋の言葉に先生は呆れていた。
更衣室に移動している女子生徒たちは楽しそうに話している。
むしろ男子は移動せずに着替えられるから、楽な気がするけど高橋にとっては違うのだろう。
「お前らも早く着替えろよ」
そう言って、担任の先生は職員室に戻って行った。
女子生徒がいなくなったタイミングで俺たちも着替えていく。
相変わらず黒瀬から視線を感じるが、やはり謝るべきなんだろうか。
これから体力テストで半日は一緒に行動することになっているからな。
「黒瀬……」
俺が黒瀬に目を向けると、顔を背けて視線を逸らした。
さっきまでずーっと見ていたのに。
少し腹立った俺は着替えているところを見つめ返す。
だが、相変わらずのスタイルの良さにさらに腹が立ちそうだ。
「鍛えてないのに羨ましい腹筋しているな」
はっきりと分かれた腹筋を軽く叩く。
そういえば、体格について触れると、黒瀬は怒るんだった。
またやらかしたと思い、恐る恐る黒瀬の顔を覗き込む。
「あっ……」
だけど、前髪の隙間から見える目は笑っていた。
前と違って怒ってはいなさそうだ。
ボッチ同盟になっただけのことはある。
少しだけ距離感が近くなったから、今回は許してくれたのだろう。
「今日はずっとペアだからよろしく」
少し誤魔化すように手を引っ込める。
だけど、黒瀬はどこか寂しそうな顔をしていた。
何か気に障ることでも言ったのだろうか。
……うん。よくわからない。
やっぱりいまいち距離感が掴めないな。



