「お前ら、これから渡すのは年間行事のスケジュールだ。高校二年生だからといって気を抜くなよ。特に高橋!」
「はぁん!? 俺?」
俺の二つ隣に座っているのはさっき声をかけてきた陽キャの男子生徒だ。
彼は個別に名指しされていた。
「海斗、先生に目つけられてるじゃん!」
「ははは、うける!」
教室に笑い声が響く。
きっとこのクラスは高橋海斗と呼ばれる彼が中心になりそうだな。
ちょうど教室の真ん中ぐらいに座っているから目立つし。
「はい」
「ありがとう」
前の席から渡された年間スケジュールを手に取り、視線を落とす。
「修学旅行は十一月か……」
大学受験のことを考えると、冬休みぐらいからは勉強を始めるのだろう。
その前には修学旅行を済ませるつもりのようだ。
――トントン!
後ろから肩が叩かれたような気がした。
俺はすぐに手元にプリントが二枚あることに気づいた。
「ごめん、ボーッとしてた」
ついつい自分のことばかり考えてて、プリントを渡すのを忘れていた。
体を捻りプリントを渡すと、大きな手はプリントをさっと掴んだ。
「大丈夫……ありがとう」
やっぱり小さな声でボソッと呟いた。
でも、そんなに悪いようなやつではないんだよな。
プリントを渡されてお礼を言うようなやつだし。
きっと人見知りなんだろう。
「よし、全員の手元にプリントが回ったな」
先生の声に俺は前を向く。
「まずは来週から健康診断と体力テストがすぐにある。去年と同じで今年もペアを組んでもらうぞ」
去年と同じなら名簿順でペアだったはず。
自分の席から見える位置に男子生徒は二人いた。
ってことは後ろの席のやつが俺のペアになるのか。
「五月に遠足、六月に中間考査と体育祭、七月に期末考査があるからな。赤点のやつは夏休みに補習がある。特に高橋!」
「だから、なんで俺ばっかりなんだよ!」
「ギリギリ二年生に上がれたのはお前だけだからな」
「ちょ、それを言うなよ!」
再び教室は笑いに包まれる。
だけど、後ろの彼は笑っている素振りはなかった。
ああ、こういう雰囲気が苦手なのかもしれない。
「じゃあ、お前たちこの後全校集会だから体育館に行けよ」
そう言って、先生は教室を後にした。
「お前、ギリギリで二年になったのか!」
「ひょっとしたら後輩だったかもしれないって……」
「おい、笑うなよ!」
相変わらず教室の中はうるさい。
そんな中、後ろの席の彼はすぐに教室から出ていった。
まるで忍者のように素早く動く姿に俺はびっくりした。
まさかあの体格の良さで速く動けるとは。
明日には健康診断があるらしいから、せっかくなら仲良くなった方がいいだろうし。
新学期二日目から一人行動なるのは避けたい。
「えーっと……」
呼び止めようとしたけど、名前がわからない。
「待って……そこの巨人忍者!」
思っていたことがつい言葉に出てしまった。
だが、彼は止まる様子もなく、脚が長いのか追いつかない。
「ちょっと待ってて……」
俺は彼のブレザーを掴む。
さすがにそこまですれば気づき、足を止めた。
「何だ?」
明らかな心の距離感に俺も戸惑ってしまう。
何か用があるかと言われたら特にない気がする。
だけど、今のままでは俺たち明日にはボッチだからな。
「一緒に体育館に行こう」
「……なんで?」
うん。距離感が中々掴めない。
ここは正直に言ってもいいのだろうか。
どこか上からジーッと睨まれているような気がするし。
「えーっと……ボッチだから?」
「大丈夫……ありがとう」
そう言って、彼は再び歩き出した。
今のは何に対してお礼だったのだろうか。
それにあいつはボッチが怖くないのか?
周囲を見回すと、友達と仲良く歩いて体育館に行くやつらばかりだからな。
何を考えているのか全くわからない。
あんなに大きな体なのに、誰よりも小さく見える。
まだ名前もわからない後ろの席の彼に、俺は嫌悪感よりも少しだけ不思議と興味が出てきた。
「はぁん!? 俺?」
俺の二つ隣に座っているのはさっき声をかけてきた陽キャの男子生徒だ。
彼は個別に名指しされていた。
「海斗、先生に目つけられてるじゃん!」
「ははは、うける!」
教室に笑い声が響く。
きっとこのクラスは高橋海斗と呼ばれる彼が中心になりそうだな。
ちょうど教室の真ん中ぐらいに座っているから目立つし。
「はい」
「ありがとう」
前の席から渡された年間スケジュールを手に取り、視線を落とす。
「修学旅行は十一月か……」
大学受験のことを考えると、冬休みぐらいからは勉強を始めるのだろう。
その前には修学旅行を済ませるつもりのようだ。
――トントン!
後ろから肩が叩かれたような気がした。
俺はすぐに手元にプリントが二枚あることに気づいた。
「ごめん、ボーッとしてた」
ついつい自分のことばかり考えてて、プリントを渡すのを忘れていた。
体を捻りプリントを渡すと、大きな手はプリントをさっと掴んだ。
「大丈夫……ありがとう」
やっぱり小さな声でボソッと呟いた。
でも、そんなに悪いようなやつではないんだよな。
プリントを渡されてお礼を言うようなやつだし。
きっと人見知りなんだろう。
「よし、全員の手元にプリントが回ったな」
先生の声に俺は前を向く。
「まずは来週から健康診断と体力テストがすぐにある。去年と同じで今年もペアを組んでもらうぞ」
去年と同じなら名簿順でペアだったはず。
自分の席から見える位置に男子生徒は二人いた。
ってことは後ろの席のやつが俺のペアになるのか。
「五月に遠足、六月に中間考査と体育祭、七月に期末考査があるからな。赤点のやつは夏休みに補習がある。特に高橋!」
「だから、なんで俺ばっかりなんだよ!」
「ギリギリ二年生に上がれたのはお前だけだからな」
「ちょ、それを言うなよ!」
再び教室は笑いに包まれる。
だけど、後ろの彼は笑っている素振りはなかった。
ああ、こういう雰囲気が苦手なのかもしれない。
「じゃあ、お前たちこの後全校集会だから体育館に行けよ」
そう言って、先生は教室を後にした。
「お前、ギリギリで二年になったのか!」
「ひょっとしたら後輩だったかもしれないって……」
「おい、笑うなよ!」
相変わらず教室の中はうるさい。
そんな中、後ろの席の彼はすぐに教室から出ていった。
まるで忍者のように素早く動く姿に俺はびっくりした。
まさかあの体格の良さで速く動けるとは。
明日には健康診断があるらしいから、せっかくなら仲良くなった方がいいだろうし。
新学期二日目から一人行動なるのは避けたい。
「えーっと……」
呼び止めようとしたけど、名前がわからない。
「待って……そこの巨人忍者!」
思っていたことがつい言葉に出てしまった。
だが、彼は止まる様子もなく、脚が長いのか追いつかない。
「ちょっと待ってて……」
俺は彼のブレザーを掴む。
さすがにそこまですれば気づき、足を止めた。
「何だ?」
明らかな心の距離感に俺も戸惑ってしまう。
何か用があるかと言われたら特にない気がする。
だけど、今のままでは俺たち明日にはボッチだからな。
「一緒に体育館に行こう」
「……なんで?」
うん。距離感が中々掴めない。
ここは正直に言ってもいいのだろうか。
どこか上からジーッと睨まれているような気がするし。
「えーっと……ボッチだから?」
「大丈夫……ありがとう」
そう言って、彼は再び歩き出した。
今のは何に対してお礼だったのだろうか。
それにあいつはボッチが怖くないのか?
周囲を見回すと、友達と仲良く歩いて体育館に行くやつらばかりだからな。
何を考えているのか全くわからない。
あんなに大きな体なのに、誰よりも小さく見える。
まだ名前もわからない後ろの席の彼に、俺は嫌悪感よりも少しだけ不思議と興味が出てきた。



