「高校生ってどこで遊んでるんだ?」
「いや、俺に聞かれても……」
俺たちは施設の案内看板の前で立ち尽くす。
漫画を買ったはいいけど、次に何をするか考えていなかった。
「俺たちボッチだもんな」
「湊には友達がいるだろ」
蓮の言葉が突き刺さる。
「友達はいるけど、クラスではボッチだ」
そして、自分で言ってさらに突き刺さる。
そんな俺を蓮はジーッと見つめていた。
また何か思っているのだろう。
「俺がいるからボッチじゃないだろ」
「あぁ……ボッチ同盟だもんな」
まさか蓮がフォローしてくれるとは思わなかった。
そんなことを話しつつ、次の目的地を決めていく。
「とりあえず、ゲームセンターとか?」
「うっ……」
やけに視線を逸らす蓮に俺はニヤリと笑う。
きっとゲームセンターに何かがあるのだろう。
「よし、ゲームセンターで決まりだな」
俺は蓮が逃げて行かないように、手を引っ張っていく。
ここ最近、身体測定から始まって、体力テスト、モテ期と続いて蓮のいいところばかり見てきたからな。
ここで蓮のダサいところでも見てやろう。
ゲームセンターに着くと、早速何か良さそうなクレーンゲームがないか探す。
「あっ、これ蓮にそっくりだな」
「……熊だぞ?」
「熊だよ?」
そこには手のひらより少し小さめの熊のぬいぐるみがついたキーホルダーがあった。
どこか眉間にシワを寄せて、怒っているような姿が蓮に似ている。
「予算は五百円! どっちが先に取れるか勝負だ」
蓮が欲しいとも言ってないのに、俺は先にお金を入れてクレーンゲームをやっていく。
まずは景品入り口にある熊に狙いを定めた。
「おっ、これは……ダメか」
熊のぬいぐるみは持ち上がるが、クレーンが左右に動いた瞬間に落ちてしまう。
その後、何度やっても熊のぬいぐるみが落ちることはなく、予算の五百円を使い切ってしまった。
「次は蓮の番だぞ」
「ああ。湊はこれが欲しいのか?」
「なんか蓮に似てるだろ」
「そうか」
どこか蓮は嬉しそうにクレーンゲームを操作する。
これで蓮のダサい部分を見れる。
そう思ったが、クレーンはちょうど熊のぬいぐるみの真上に降りていく。
「えっ、まさか一回目で!?」
クレーンは熊のぬいぐるみを上手く掴むと、そのまま景品出入り口に向かって動いた。
しかも、クレーン部分にキーチェーンが引っかかり、二個も熊のぬいぐるみを運んでいる。
そのまま景品取り出し口の上でクレーンが開くと、音を立てながら熊のぬいぐるみが落ちてきた。
「まさかクレーンゲームまで得意だったとは……」
「いや、あまりやったことない」
「はぁん!?」
まさかクレーンゲームが得意ってわけでもないようだ。
それなのに一回目で二つも取れるとは、何か徳を積んでいるのかもしれない。
「はい、あげる」
「えっ? いいのか?」
蓮は大きく頷いた。
手元には上手く笑えていない熊と眉間にシワを寄せた熊が渡された。
手を伸ばして蓮の顔の横に持ち上げて見比べる。
「んー、こっちの方が蓮に似てそうだな」
俺は元々取ろうとしていた眉間にシワを寄せた熊のぬいぐるみを蓮に渡した。
「これでお揃いだな」
「お揃い……」
「あっ、嫌だったか?」
俺は手を引こうとした瞬間、蓮に止められた。
「嫌じゃない」
そのまま蓮は奪うように熊のぬいぐるみを手に取ると、嬉しそうに口を緩めた。
まるで俺の持っている上手く笑えていない熊にそっくりだな。
「せっかくだからカバンにつけておくね」
俺は通学用のリュックサックにキーチェーンを取り付ける。
高校生にもなって熊のぬいぐるみをつけるのが恥ずかしいかと思ったが、ゲームセンターに来ていた女子高生たちもカバンにたくさん付けていたから問題ないだろう。
「じゃあ、俺もつける」
そう言って、蓮もカバンにぬいぐるみを付けた。
シックで大きめな皮のカバンにぶら下がる熊のぬいぐるみ。
どこかアンバランスなような気がするけど、蓮はどこか嬉しそうにしていた。
俺がもらったやつではあるが、蓮も気に入ってくれたならよかった。
ただ、まだ大事なことが残っている。
「蓮、ゲームセンターで何か苦手なやつはないのか?」
「……ない」
わずかに遅れた返事に俺はジーッと蓮の顔を見る。
目を逸らしているから、きっとゲームセンターの中にあるのは間違いない。
視線の先を追うと、そこには太鼓のゲーム機が置いてあった。
曲に合わせて太鼓を叩く、たぶん簡単なゲームだ。
その太鼓のゲーム機を見た瞬間、蓮の肩がほんの少し下がった気がしたからな。
俺もあまりやったことがないため、詳しいことは知らないけど大丈夫だろう。
「蓮、あの太鼓――」
「いやだ」
はっきりと聞こえた言葉に俺はニヤリと笑う。
「あー、俺は太鼓のゲームがしたいなー」
「一人でやればいい」
「ボッチ同盟なのに、ボッチにさせるのかー」
「くっ……」
「蓮は冷たいなー。俺が友達じゃ――」
「友達だ」
真剣な顔で蓮は俺を見ていた。
少し可哀想にも見えたが、せっかくだからダサい蓮を見ておきたい。
「なら一緒に太鼓をするぞ!」
俺は蓮の手を持って、引っ張っていく。
嫌とは言っても、抵抗しないし、そのまま蓮はついてくるからな。
「これなら逃げられないぞ」
ゲーム機の前に行くと、すぐに二百円を入れた。
お金を払ってしまえばこっちのもんだ。
「えーっと……難易度は普通でいいか?」
「うん……」
熊のぬいぐるみを取った時とは明らかに低いテンション。
適当に俺が好きな曲を決めて、あとは曲に合わせて太鼓を叩くだけだ。
聞き慣れた曲ならリズムは取りやすいからな。
「……あれ?」
画面の表示に合わせて、太鼓を叩いていく。
だけど、うまくタイミングが合わないのか、画面に映るキャラクターが渋い顔をしている。
一方、蓮の方を見ると――。
「俺よりうまいじゃんか」
少しぎこちないが蓮はタイミングよく太鼓を叩いていた。
「くくく、湊が下手くそなんだよ」
まさか蓮の方が上手いとは誰も思わないだろう。
一曲終わった時にはノルマ達成できていない俺とは違って、蓮はちゃんとノルマ達成できていた。
画面上にいる蓮のキャラクターですら、俺のキャラクターを褒めているぐらいだ。
「次こそ負けないからな」
「コツは掴めたから大丈夫」
「はぁん!?」
蓮の言ったことは言葉のままだった。
二曲目はほとんどミスもなく、やり遂げた蓮がそこにはいた。
「お前、何でもチートだな……」
「いや、友達作りは苦手だ」
「それを言ったら俺は全て苦手なことになるからな」
どうせボッチ同盟って言い訳を作らないと友達ができない俺とは違って、蓮は何でもできるからな。
「よし、次こそ蓮のダサい姿を見るんだからな!」
そう言って、俺はゲームセンターの中で蓮を連れ回す。
結果はほとんど俺の完敗だ。
すぐに蓮は慣れてできるようになるからな。
ただ、気づいた時には蓮の苦手なことを探すよりも、蓮と一緒に騒いでいることの方が楽しくなっていた。
「いや、俺に聞かれても……」
俺たちは施設の案内看板の前で立ち尽くす。
漫画を買ったはいいけど、次に何をするか考えていなかった。
「俺たちボッチだもんな」
「湊には友達がいるだろ」
蓮の言葉が突き刺さる。
「友達はいるけど、クラスではボッチだ」
そして、自分で言ってさらに突き刺さる。
そんな俺を蓮はジーッと見つめていた。
また何か思っているのだろう。
「俺がいるからボッチじゃないだろ」
「あぁ……ボッチ同盟だもんな」
まさか蓮がフォローしてくれるとは思わなかった。
そんなことを話しつつ、次の目的地を決めていく。
「とりあえず、ゲームセンターとか?」
「うっ……」
やけに視線を逸らす蓮に俺はニヤリと笑う。
きっとゲームセンターに何かがあるのだろう。
「よし、ゲームセンターで決まりだな」
俺は蓮が逃げて行かないように、手を引っ張っていく。
ここ最近、身体測定から始まって、体力テスト、モテ期と続いて蓮のいいところばかり見てきたからな。
ここで蓮のダサいところでも見てやろう。
ゲームセンターに着くと、早速何か良さそうなクレーンゲームがないか探す。
「あっ、これ蓮にそっくりだな」
「……熊だぞ?」
「熊だよ?」
そこには手のひらより少し小さめの熊のぬいぐるみがついたキーホルダーがあった。
どこか眉間にシワを寄せて、怒っているような姿が蓮に似ている。
「予算は五百円! どっちが先に取れるか勝負だ」
蓮が欲しいとも言ってないのに、俺は先にお金を入れてクレーンゲームをやっていく。
まずは景品入り口にある熊に狙いを定めた。
「おっ、これは……ダメか」
熊のぬいぐるみは持ち上がるが、クレーンが左右に動いた瞬間に落ちてしまう。
その後、何度やっても熊のぬいぐるみが落ちることはなく、予算の五百円を使い切ってしまった。
「次は蓮の番だぞ」
「ああ。湊はこれが欲しいのか?」
「なんか蓮に似てるだろ」
「そうか」
どこか蓮は嬉しそうにクレーンゲームを操作する。
これで蓮のダサい部分を見れる。
そう思ったが、クレーンはちょうど熊のぬいぐるみの真上に降りていく。
「えっ、まさか一回目で!?」
クレーンは熊のぬいぐるみを上手く掴むと、そのまま景品出入り口に向かって動いた。
しかも、クレーン部分にキーチェーンが引っかかり、二個も熊のぬいぐるみを運んでいる。
そのまま景品取り出し口の上でクレーンが開くと、音を立てながら熊のぬいぐるみが落ちてきた。
「まさかクレーンゲームまで得意だったとは……」
「いや、あまりやったことない」
「はぁん!?」
まさかクレーンゲームが得意ってわけでもないようだ。
それなのに一回目で二つも取れるとは、何か徳を積んでいるのかもしれない。
「はい、あげる」
「えっ? いいのか?」
蓮は大きく頷いた。
手元には上手く笑えていない熊と眉間にシワを寄せた熊が渡された。
手を伸ばして蓮の顔の横に持ち上げて見比べる。
「んー、こっちの方が蓮に似てそうだな」
俺は元々取ろうとしていた眉間にシワを寄せた熊のぬいぐるみを蓮に渡した。
「これでお揃いだな」
「お揃い……」
「あっ、嫌だったか?」
俺は手を引こうとした瞬間、蓮に止められた。
「嫌じゃない」
そのまま蓮は奪うように熊のぬいぐるみを手に取ると、嬉しそうに口を緩めた。
まるで俺の持っている上手く笑えていない熊にそっくりだな。
「せっかくだからカバンにつけておくね」
俺は通学用のリュックサックにキーチェーンを取り付ける。
高校生にもなって熊のぬいぐるみをつけるのが恥ずかしいかと思ったが、ゲームセンターに来ていた女子高生たちもカバンにたくさん付けていたから問題ないだろう。
「じゃあ、俺もつける」
そう言って、蓮もカバンにぬいぐるみを付けた。
シックで大きめな皮のカバンにぶら下がる熊のぬいぐるみ。
どこかアンバランスなような気がするけど、蓮はどこか嬉しそうにしていた。
俺がもらったやつではあるが、蓮も気に入ってくれたならよかった。
ただ、まだ大事なことが残っている。
「蓮、ゲームセンターで何か苦手なやつはないのか?」
「……ない」
わずかに遅れた返事に俺はジーッと蓮の顔を見る。
目を逸らしているから、きっとゲームセンターの中にあるのは間違いない。
視線の先を追うと、そこには太鼓のゲーム機が置いてあった。
曲に合わせて太鼓を叩く、たぶん簡単なゲームだ。
その太鼓のゲーム機を見た瞬間、蓮の肩がほんの少し下がった気がしたからな。
俺もあまりやったことがないため、詳しいことは知らないけど大丈夫だろう。
「蓮、あの太鼓――」
「いやだ」
はっきりと聞こえた言葉に俺はニヤリと笑う。
「あー、俺は太鼓のゲームがしたいなー」
「一人でやればいい」
「ボッチ同盟なのに、ボッチにさせるのかー」
「くっ……」
「蓮は冷たいなー。俺が友達じゃ――」
「友達だ」
真剣な顔で蓮は俺を見ていた。
少し可哀想にも見えたが、せっかくだからダサい蓮を見ておきたい。
「なら一緒に太鼓をするぞ!」
俺は蓮の手を持って、引っ張っていく。
嫌とは言っても、抵抗しないし、そのまま蓮はついてくるからな。
「これなら逃げられないぞ」
ゲーム機の前に行くと、すぐに二百円を入れた。
お金を払ってしまえばこっちのもんだ。
「えーっと……難易度は普通でいいか?」
「うん……」
熊のぬいぐるみを取った時とは明らかに低いテンション。
適当に俺が好きな曲を決めて、あとは曲に合わせて太鼓を叩くだけだ。
聞き慣れた曲ならリズムは取りやすいからな。
「……あれ?」
画面の表示に合わせて、太鼓を叩いていく。
だけど、うまくタイミングが合わないのか、画面に映るキャラクターが渋い顔をしている。
一方、蓮の方を見ると――。
「俺よりうまいじゃんか」
少しぎこちないが蓮はタイミングよく太鼓を叩いていた。
「くくく、湊が下手くそなんだよ」
まさか蓮の方が上手いとは誰も思わないだろう。
一曲終わった時にはノルマ達成できていない俺とは違って、蓮はちゃんとノルマ達成できていた。
画面上にいる蓮のキャラクターですら、俺のキャラクターを褒めているぐらいだ。
「次こそ負けないからな」
「コツは掴めたから大丈夫」
「はぁん!?」
蓮の言ったことは言葉のままだった。
二曲目はほとんどミスもなく、やり遂げた蓮がそこにはいた。
「お前、何でもチートだな……」
「いや、友達作りは苦手だ」
「それを言ったら俺は全て苦手なことになるからな」
どうせボッチ同盟って言い訳を作らないと友達ができない俺とは違って、蓮は何でもできるからな。
「よし、次こそ蓮のダサい姿を見るんだからな!」
そう言って、俺はゲームセンターの中で蓮を連れ回す。
結果はほとんど俺の完敗だ。
すぐに蓮は慣れてできるようになるからな。
ただ、気づいた時には蓮の苦手なことを探すよりも、蓮と一緒に騒いでいることの方が楽しくなっていた。



