優等生の鑑〜いつも笑顔の私を救ってくれたのは、誰よりも私のそばにいてくれた君だった〜

 私の話を聞いた後、空(そら)は、黙って地面を見つめていた。
 きっと、何を言おうか、考えているのだろう。
「……過去は、変えられない」
 地面を見つめたままの空(そら)は、そう呟いた。
「……たらればの話を考えても、意味ねえよ」
 それくらい、分かっている。
 でも、どうしても考えてしまうのだ。
 あの時、私が……。
「でもまあ、考えちゃうよな、もしもの話って」
「え……?」
「……俺も考えるから。もし、あの時俺が……」
 何かを言いかけて、すぐに口を閉じた。
「……赤間(あかま)がさ、下向いて生きてるの、みづきさんは喜ばないと思うぜ?」
「そう、だね……」
「……少しずつ。少しずつで良いから、前向いて生きろよ」
 ――恋に落ちた。
 私を見て、笑ってくれるその姿に。
「空(そら)……」
「じゃあな。長谷川(はせがわ)に連絡すれば?もう、映画終わってるだろうし」
 去っていく空(そら)の姿を見つめる。
 初恋だった。
 世界が、鮮やかに色づいていく気がした。