漆黒の花嫁と真珠の皇子〜疎まれてきた令嬢は、皇太子に見初められる〜

 生まれた時、“色”が与えられる世界に、私は生まれた。
 お母さまは茜色、お父さまは柚葉色。
 私より二つ年上のお姉さまは、瑠璃色だった。
 でも私は……。
「漆黒のくせに近寄らないでくれる?」
 ――漆黒だった。
 その色のせいで、私には、友達ができたことがない。
 家族からも嫌われている。
黒葉(くろは)
瑠華(るか)さま……」
 お姉さまのことを、私はお姉さまとは呼べない。
 ――瑠華(るか)さま。
 私は、そう呼ばないといけない。
 ……使用人だから。
「ねえ、ここ、掃除まだなの?」
「申し訳ありません……。今すぐに……」
「急いでよ」
 不機嫌そうに去っていく。
 私は、その背中を見つめることしかできない。