悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 カインはニヒルな笑みを浮かべる。
 古狸やらキツネやらが満員電車になっている国政の場、議会を見ているから、相手の言いたいことを推し量る力が培われるのか。

 残念なことに、変装にはその察しの良さが活かされていない。

 ミゲルみたいに、庶民の服を着て眼鏡をかけるくらいにしとけばいいのに。

「とはいえ、陛下とお后様がいらしたら……警備が物々しくなるでしょうね。視察という体をとっても、みんな気を使ってしまって普段通りとはいかないでしょうし」
「うーん。ならクリティア。キッチンカーで城まで出張してもらえないか。城の庭園内でなら、余計な警備もいらないだろう」
 
 お祭で屋台の他にキッチンカーが出張するのはよくある話。

「わかりました」
「では詳しい日時は後ほど調整しよう」

 カインを引き連れてキッチンカーに戻ると、ルールーが飛び跳ねた。

「びゃーーー!! もふもふが!!?? 知りませんでしたの、人間にも換毛期がありますの!?」

 そういえばカイン、アフロを抱えてたね。
 ルールーが呼んだ自警団が来ていて、カインの肩をぽんと叩く。