悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 私とカイン王子が飲み仲間になったのを覚えているだろうか。

 今日、母上の許可を取って久々にキッチンカーでおにぎりを売っていた。
 酒を一滴も飲まないなら、許してもいいと譲歩された形だ。

 酒を飲まないツマミなんて、肉のないハンバーグみたいなもんだよ!?

 それでも料理をすることを許してもらえただけ……よくない、よくないよ。
 私から酒を取るなんてひどいわ母上。

 落ち込み気味でおにぎりを売っていたら、珍妙な客が「これで買えるだけくれ」
と言ってお札を出した。


 枝豆カラーのアフロをかぶり、三角に折ったハンカチマスクで口を隠し、舞踏会の仮面をしたジャージ姿の男だ。

 対面してしまったルールーが、おぼんを持ったまんま叫んだ。