悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 メイドの給仕服を借りて袖を通す。

 ドレス着て料理したら汚れるもんな。

「お、お嬢様、包丁を握るなんて危なすぎます! あぁ、神様お嬢様を助けてください!」

 使用人達が床に膝をついてガクブルしている。

 包丁持っただけでこの反応、どんだけ箱入りなんだよ貴族のお嬢。

 白ワインにひたして臭みを取った鳥肉を小さめに切り分けて、串に刺して……塩を振って焼く!

 焼けばいいんだよ、とりあえず。

 網に乗せてじっくり焼き上げ、調理場に香ばしいかおりがただよう。

 青ざめていた使用人達も意外そうな顔だ。

 本当なら甘じょっぱいタレを塗りたいけれど、異世界に醤油はねぇ。

「できた! 焼き鳥!!!!」

 ようやくお目にかかれたのね、私の心の栄養。

 運がいいことにこの国には麦酒(ビール)がある。

「ビールと一緒にいただくのよ!」

 かーー、うんめっ!!

 カリカリで肉汁ジュワで、生きててよかった!!