悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 つまり、食神の聖女(みんなが勝手に言ってるだけ)の私に会うために、ちゃぶ台の荷車に忍び込んだと。

「どうします、クリティア様」

 村長は困り顔で私の判断をあおいでくる。
 我が家に害をもたらそうとして乗り込んできたようには見えない。

 言葉のとおり、人間に興味があってここまで来てしまっただけ。

 私が処遇を決めていいなら、答えは一つ。

「ねえルールー。里に帰りたい? それとも、もっと人の世界を見たい?」
「っく、えう、クリティアは、ルールーを食べないんですの?」

「人の言葉を話すものを食べようとは思わないわ。人の世界をもっと知りたいと思うなら、うちで働くといいわ。ただし、一度故郷に戻って、ちゃんとご家族の許可を得てからになさい」

 ようやく泣きやんで、ルールーは私をじっと見上げる。