悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「どうかしら、ヨイ様。ナスの煮浸しとウーロンハイよ」

「まあ、とってもいい香り! ナスをこんなにシンプルに料理するなんて初めて見ましたわ。それでは、いただきます。あつつ、ふー、はふー」

 できたて熱々をフォークで小さくして、ヨイが一口ぱくり。

「おいひいれふわ! 柔らかくて、香ばしくて!」

「それは良かった」

「んぐんぐ。このお酒とも合います! オーキナ王国だとクリームソースやチーズで調理することが多いですが、魚介出汁で焼き煮するのも合うのですね」

「さすが海辺の領の民。ヨイ様は舌が肥えていますね。これはユージーン領からきた商人が市で販売している煮干しです」

「自領でとれる食物は一通り口にしております。味を知らないものを人様に売るなんてできませんもの」

「その心意気、見習いたいです」

 ヨイはクリティアとそう年齢が変わらないのに、貴族としての心構えが段違い。

「わたしもクリティア様を見習って、最近は一人でもタコを倒せるように鍛えているんです!」

「ふむふむ、鍛え…………って、タコを……倒す!?」