悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 見本用に作ってもらったおにぎり玉つき孫の手を持ち帰ると、屋敷に客が来ていた。

 ロブソンに似た顔立ちのハイティーンだ。

 黒髪緑目ベビーフェイス。

 客間で、まるで主のような顔をして優雅に紅茶を飲んでいる。

「やあ、君がクリティアだね。ボクはダニー・リフジンスキー。君の元婚約者、ロブソン・リフジンスキーの従弟さ」

「はぁ。ロブソンさんの従弟がなんの用でしょう」

 私とロブソンは婚約解消しているから赤の他人。

 つまり私とこの人も赤の他人、なのだが。

「叔父貴がロブソンに家督を譲るのを止めると言ってね。ボクが後継者に決まった」

「あのダメっぷりならそうでしょうね。それで、なんで貴方がここに来たのですか」

 もう取り繕うこともしないで毒が出る。

 使用人達も散々迷惑を被ったから、静かに頷いている。

「ボクがリフジンスキー家を継ぐから、三番目の妻にならないか! 本妻と第二婦人に話を通しておくからさ」

「帰れ花畑2号!!」

 持っていた孫の手をドタマ目掛けてフルスイングした。