悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 礼服に身を包むクロム。
 私はよそ行き用のいい布で作ったジャージ装備で馬車に乗った。

 屋敷から西に行くこと半日。

 フローレンス領の農村についた。

 フローレンス領は林業と畑作が主な産業。

 大きな鉱山を持つ公爵や候爵に比べたら半分以下の収入だ。

 私は出身が田舎だから気にしないし、農村には農村のいいところがあるから、一概に公爵領がいいとは限らない、と思う。

 村長は、「仕事を探して若い者が街に行ってしまうから、村に残るのは高齢者と女子供ばかり、廃れる一方です」と嘆いている。

 異世界でも田舎の過疎化は深刻ね。

 現在は鳥や犬、猫の形の木彫り人形を売っているけれど、木彫り人形は他の領地でも作っている。

 どんぐりの背比べ、似たりよったりが山ほどある中で選んでもらうのは大変なこと。

 もっと他の領地の木工品との違いを出したい。

「そうね、ではこのあたりの木々を活かした新しい商品を開発しましょう。街でこのあたりの木彫り細工は人気だから、新商品を作るの」

「姉上、そんな簡単に言いますけれど……多少デザインが違う程度の木彫りはどこの領地でもやっているでしょう」

「これでも、市場で買い出しするときに一通り見ているのよ。目新しい、かつ生活の役に立つものだと顧客の目を引くと思うの。こういうのを作りましょう」

 この世界にない、きっと人気になりそうな日本によくある木彫りアイテム。