悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 ビール腹になったことにより、料理禁止令が出されてしまいましたわ。

 ダンスレッスンと言う名のダイエットでしごかれていたら、あきれ顔のクロムがやってきた。

「聞きましたよ姉上。だいぶ落ち込んでいますね」

「クロム。一生のお願い。ビールをちょうだい。母上に内緒で」

「母上に、「クリティアを甘やかしてはなりません」と言われたので無理です。水で我慢してください」

「ぐふ!」

 どこの世界でも、母は一家で一番強いらしい。次期領主のクロムも母に頭が上がらない。

「領地の視察に行くので、姉上も同行してください。現状把握は領主一族の勤めです」

「そうね。ここにいたらビールのことばかり考えてしまうわ。仕事しましょ」

「そんな、失恋した人みたいなことを」

「まさに最愛のビールを失っているわ」

 貴族の令嬢としてアウトな意見かもしれないけど、私は男よりビールがほしい。

 転生したって中身が干物の私だもの。