悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 侍女にお世話されてコルセット締められてドレス着て、高級レストランのフルコースみたいなもんが毎食出てくるおセレブな日々が、1ミリも! 私に合わない!

 あー、辛い。

 セレブ生活辛い。

 だるだるに伸びたスウェット上下着て、横になって焼き鳥頬張ってテレビ見たいわぁ。

 ビールと枝豆を添えるとなお良い。

 あ、家を出ればいいんだ。
 
 私はすぐさま今世の父上、ディアブロ・フローレンスにかけあった。

 御年45。

 立派な領主様である。

 クリティアの水色の髪は父上譲りなようだ。

「お父様。私、自立したいですわ。ひとり暮らしさせてください」

「そんなことできないよクリティア。お前は我が家の可愛い娘だ。放り出せるわけないだろう。ロブソンに振られて傷心なのはわかるが自暴自棄になっては駄目だよ」

 ごめんよ父上。

 何を勘違いしているかわからないけれど、傷つきようがねぇんですわ。

 初対面の人間にいきなりサヨナラ宣言されてポカーンよ。

「いいえお父様。傷心してはいません。私、自分のことを自分でしたいのです」

 着替えのお手伝いをされたくないし、入浴手伝いされたくないし、なんなら自分で料理用意したいわ。

 今朝、自分で作りたいって言ったら料理人が「ぼくはクビってことですか、そんなに不味かったんですかお嬢様!!!!」とボロ泣きしてしまった。

 料理は使用人の仕事であり、調理場は令嬢が立ち入っていい場所じゃない。

 いや、ごめんて。

 あなたの料理が不味いのではなくて、私の貧乏舌がマズいんです。

 自分で料理させてもらえないとか、めんどくさいな貴族の令嬢生活。