悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 ボウルに卵三つを溶いて、裏ごしする。

 出汁は煮干しと昆布。

 ここに砂糖と塩を少々入れる。

 溶き卵と合わせて卵液を作ったら、油を引いたフライパンに少しずつ流し込んで菜箸で巻き、流し込んでは巻きを繰り返して厚焼きにしていく。

 じっくり、焦がさないように。

 見守る使用人たちも息をのんでいる。

 切り分けたら皿に乗せてできあがりだ。

「できたわ! だし巻き玉子よ! 母上もどうぞ、召し上がれ」

「あらあら、なんだかいい香り。見た目は簡素なのね」

 砂糖を入れたから甘じょっぱい香りがしている。

 熱いうちにいただく。

 私は箸で、みんなはフォークでだし巻き玉子を口に入れる。

「なんてことでしょう。塩気の中に甘みがあって、お互いを引き立てあっているわ! ふっくらしていて舌触りも滑らか。プディングともまた違う、干した魚でこんなに深い味わいが出るなんて」