悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「さ、みなさんもどうぞ。味は保証するわ。ほら、私が食べても何にも起こらないでしょう」

「クリティアお嬢様がそう仰るなら、食べないわけにはいきません」

 私の奇行に慣れているクックは、ピックを渡すと一口で食べた。

「アチチチ、わ、美味しい! お嬢様、すごく美味しいです! こんな食感のもの食べたことがない!」

「そ、そんなに美味しいんですか? では、わたしも一つ……お、美味しい! このタコというのは見た目は化け物だったのに、こんなに美味しくなるんですの!? 本当に、魔物ではなかったのですね」

「魔物どころか、貴重なタンパク源よ。調理法をきちんと広めればみんな食べてくれるようになるわ」

 タコ料理も何品か料理本に収録しないとね。

 この世界でもタコ料理を食べたいもの。

「わたしたちだけでは、怯えるだけで何もできませんでした。やはりクリティア様は食神に愛された聖女様なのですわ」

 悪役令嬢から一転、私は食神の天啓を聴く聖女になったらしい。

 なぜだ。

 日を増すごとに誤解が増えていく。