悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「見た目はこうだけど、食べてみればわかるわ。美味しいのよ」

 這って海に逃げようとするタコを、そこらにあった鉤爪で刺してゲッチュ!

 命の危機を察したタコはスミを吐く。

 私のジャージが黒く染まる。

「きゃあぁぁあ!! クリティア様!? クリティア様がモンスターの呪いを受けてしまわれたわ!!」

「あな恐ろしや!」

 ただのスミだから気にしなくていいのにー。

 皆様真っ青になってガクブル。
 
「逃がさないわよタコ。あなたはこれから私の胃袋に入る運命にあるの。大人しくしなさい!」

 っと、ここだけ聞かれたら私、悪役じゃありませんか。

「鍋を用意していただける? 塩と小麦粉と油、あと、調味料をいくつか」

「は、はい」

 護衛として連れてきた我が家の使用人が、道具を揃えるために走り出した。

 シゴデキな我が使用人クック。

 調理場の下働き。

 三〇分足らずで用意してくれた。

 タコを見てガクブルするみんな。

 食べ物だと認識していない不気味な生き物を嬉々として調理しようとしている私、側から見たらヤバい人ですか。

 まあいいわ。

 おいしいタコ料理を食べたいもの。