悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「仕方ないわね……。食べるなら丸のみしないで、ちゃんと味わって食べなさい」

「ありがとう〜。こんなに料理上手でさ、君っていいお嫁さんになるよ」

「それ、元カノたちにも言ってきたんでしょう? ありがたみないわ」

 クリティアに冷たい目で見られるのすら快感になってきた。

「前世では養ってほしくて嘘で言ってたけど、今は本音で言ってるよ」

「ダメ人間すぎて引く」

 なんて辛辣。

 おれにこんなこと言う他人は初めて。

 家族だとじいちゃんくらいか。

 真面目に勉強して伯爵家を継ぐって言ったらクリティアは嫁に来てくれるかな。

「あー、美味しかった。ごちそうさま!」

 最後のひと粒まで食べると、キッチンに通された。
 
「器とスプーンは自分で洗って」

「なんで!」

「働け、ヒモ」

 今世の家族や使用人はみんな優しいのに、クリティアだけは田舎のばあちゃんみたいに厳しいことを言う。

「貴族のおれに洗い物をさせるなんて鬼か」

「使用人のお給料は、雇い主が働いた稼ぎから出てんだよ」

 クリティアに睨まれながら洗い物したよ。

 おれ、がんばった。