悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 このために端材で箸も作ってもらった。トングより使い慣れた菜箸のほうが調理しやすい。

 衣を油に落として、温度がいい感じになったら打粉をしておいたチーズやピーマンを揚げていく。

 パチパチ音が心地いい。


「よし、いい感じ! 天ぷら完成よ!」

 ピーマンを味見でかじってウマウマですわ。

 炊いておいた白米に乗せていただく。

 ……ってあれ?

 なんか減ってる?

「ヤッター! 天ぷら久しぶりーー! 美味しー!」

 いつの間に侵入したのか、ミゲルがつまみ食いしていた。

 私が楽しみにしていたとり天とチーズ天ぷらをモシャモシャ食んでいる。

「ぎゃ! なんでいるの!?」

「やあクリティア。婚約打診に来たよ」

「食いながら言……わないでくださいませんこと」

 使用人がいるのにうっかり素が出てしまったい。

 子どもでも、ミゲルは他家の貴族で次期伯爵様。

 デールをはじめ、メイドたちが深々頭を下げている。

「イヤですわー。あなたとの婚約はお断りしたはずですのに」

「あんたに話したところで埒が明かないから外堀を埋め……コホン。子爵様のアポイントとって直接打診に来たよ」

 姿だけなら美少年なのに、中身がヒモで言ってることがクズなんだよなぁ…………。