悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 私は次なるメニューの試作のため、おなじみになったジャージを着て調理場にいた。

 ボウルに小麦粉と卵と水を入れてよく混ぜる。

 ここ数日天ぷら食いたい欲が止まらないのだよ。

 我がフローレンス家の屋敷は海から遠いから、エビやタコのような魚介を具に使えないのは口惜しい。

 けれど野菜がある。
 乳製品がある。

 具材に使えそうなのはピーマンとキノコ、チーズ、鳥肉は細切り。

 最近嫌なことがあったから、食べて忘れるんだ。

 残業続きのときもいつもそうしていた。

 デールがメモ帳を片手にワクワクしている。

「クリティアお嬢様。今日は何を作るのですか?」

「天ぷらを作るわ」

「天ぷら?」

「フリッターの簡単なやつね」

 洋風天ぷらとも呼ばれるフリッターはメレンゲや牛乳を使うことが多いけれど、私のはザ・日本の天ぷらだ。