悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 ミゲルは一礼したあと、私を見上げて小さく手招きする。

「クリティア様。二人だけでお話したいことがあるのですがよろしいでしょうか」

「何かしら?」

 よくわからないけれど、言われるまま広間の隅っこについていく。

 あたりに人がいないのを確認してミゲルは言った。

「単刀直入に聞くけど、あんた日本人だよね。それも成人済の。串かつだの焼き鳥だの、いかにも日本の飲み屋で出てくるメニューばかりだし」

 わー、ミゲルも転生者か。

 しかも口のきき方がなってない。

 転生者に出会えた感動もへったくれもない。

 嘘をついてもしかたないから素直に答える。

「そうよ。あなたも日本人?」

「まあね。あっちにいたときは三池天哉《みいけてんや》って名前だった。今カノの家で飯食ってたらさー、元カノが乱入してきて刺されて、気づいたらこの姿」

 自業自得では、と言いかけて飲み込んだ。

 元カノに刺されて転生て。