お昼どき。屋敷の厨房でミラとクロムが並んでエプロンをしていた。
私が渡しておいたレシピで、簡単な野菜スープを作る予定だ。初心者でも作りやすいやつ。
「わたくし、クロム様と料理をできるなんて嬉しいです。美味しいスープを作りましょう!」
ミラはにこにこと笑い、クロムは顔を赤くしながら包丁を握る。
「……よ、よろしくお願いします、ミラ様」
「もうわたくしたち夫婦なのですから、ミラとお呼びください」
「は、はい。ではミラ。俺のこともクロムと呼んでいただけたら」
「はい、クロム」
二人はぎこちなくも楽しそうに料理をはじめる。
私は二人の様子をそっと覗きながら、そっと扉を閉じる。
「クリティアさまー。馬車の準備が整っておりますの。学校に行くですの」
ルールーがちょこちょこ跳ねて私の後ろにひかえる。
「そうね。学校を見に行きましょう。三か月後には生徒が入ってくるから万全の準備をしないとね」
「はいです! ルールーもお手伝いがんばりますの!」
ルールーを連れて、私は屋敷を出る。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した干物な私が、料理学校の先生になるなんて神様だって予想していなかっただろう。
でもまあ、世界に一人くらいこ私みたいな悪役がいたっていいじゃない。
私は笑って、学校に向かう馬車に乗り込んだ。
後日談 END



