悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「新郎新婦、入場でーすっ!」

 フローレンス家の庭園に私の声が響く。
 集まった人々からは拍手と花びらが舞い、白いジャージを纏ったクロムと、ジャージドレスに包まれたミラが、花のアーチをくぐり手を取り合って歩いてくる。
 ミラたっての希望でウエディングジャージを特注したのだ。

 ごめん、異世界の人たちまじごめん。クロムもごめんよ。
 私がこの世界にジャージを持ち込んだばかりに、弟の結婚式がジャージになった。
 
 ミラがここまでジャージを気にいると思わなかったんだよ……!!
 これゲームならたぶんキラキラしたウエディングドレスのミラとタキシードを着たクロムの一枚絵とか出ちゃうんだよね。ゲームしたことないからわからないけど。

 新郎新婦がジャージであること以外は普通の結婚披露宴だ。
 ミラは頬を紅潮させながら、みんなに笑顔を振りまく。

「ミラ様かわいいです。お幸せに!」
「似合っているぞ、クロム……! 幸せになるんだぞ」
「坊っちゃん、ご立派になられて……」

 参列したひとたちは口々に二人を祝福している。

 教会での式を終えたあとの披露宴は、中世風異世界なのにどこか“家族の食卓”の延長のような温かさがあった。

 披露宴の演出、全体進行を担うのは、この私。元悪役令嬢・クリティアである。