控えていたここのスタッフが敬礼して、細かな説明をしてくれる。
曰く、一般的な窯より温度が上がりやすく、奥より手前のほうが熱くなりやすいから時々料理を回したほうがいい。
塩で包んだ肉を耐熱皿に乗せて、窯の中に置く。さすがは公爵家のレストラン、いい窯だ。フタを開けた途端熱気で汗が吹き出てくる。
「よし、焼くわよ。少しずつ、時間を見て……」
窯の前でじっと待っていると、じわじわいい香りが漂ってくる。肉の焼ける香りにハーブの香りが混じって、口の中によだれが出てくる。
「わぁ。いい香りぃー! 匂いだけでごはん食べられそう。ね、クリティア」
コリンが私の後ろでソワソワしている。
「ええ。すごくいい香り。焦がさないよう、こまめに動かさないとね」
トングで押して皿を回し、焼けにくい位置と火の通りやすい位置を入れかえる。
待つこと体感10分。串で刺して、血がついてこなくなったからオーケー。
「そろそろ出してみましょう」
窯のフタを開けるとむわっと熱気がふきつけてくる。引いていた汗がまたたれる。
鍋敷きの上に乗せて、粗熱が取れるまで少し待つ。
「クリティアかな割っちゃだめ? 割っていい?」
ハンマー片手にウキウキしているミゲル。気が早い。
「塩が焼けていい色になっていますわね。この状態で中の肉が焼けるなんて、面白いですわ」
「うふふ。白身魚でも美味しくできるから、ヨイ様も領地に帰ったら地元の魚で試してみてくださいな」
「ぜひ!」



