悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「今日は、ちゃんちゃん焼きとヒレ酒を作るわ!」
「はぁ……」

 まず鮭を切り身にして、使う分は水洗いして臭みを取る。水にしばらくつけておいて、塩を抜く。
 布巾で水分を拭き取ったら、油を引いたフライパンに切り身を並べる。

 その鮭の上に、ざく切りキャベツと玉ねぎ、しめじっぽいキノコをオン。

「これで焼いている間に調味味噌を作るわ。味噌と砂糖、ショチューとお水。これを器で溶いて、フライパンに流し込む!」

 ジュワ! といい音がして、焼ける味噌の香りが調理場に漂う。すぐ蓋をしめて蒸し焼きにするのだ!
 クロムが鼻をひくひくさせる。

「なんとも、独特の芳しい香りですね」
「そうでしょう! そうでしょう! 火の通った味噌はすごくいい香りなのよ!」

 鮭と野菜に火が通るまで煮込む。

 待っている間に七輪で鮭のヒレを炙る。
 いい感じに焦げ目がついたら、熱々に燗したショチューに投入!
 職人に作ってもらって良かった、湯呑み! ヒレ酒作るのに役立つとは。

 フライパンの蓋を取ってヘラで崩してみれば、鮭も野菜たちもしっかり火が通ってクタクタになっている。

「ちゃんちゃん焼きも完成! こたつで食べましょう! クロム。あなたがこれを食べて美味しいと思ったら、ミラに教えてあげなさいな」
「……姉上がそこまで言うなら」


 素直じゃない弟だ。
 皿に盛り付けて、もちろん白米も添える。
 白米なくしてちゃんちゃん焼きとヒレ酒を楽しめようか!

「いただきまーーす!! んぐんぐ。はぁ、おいしーーー! 脂のノリがこんなに良いなんて。うちの領地は、野菜だけでなく魚も一級品ね」
「あぁ、火を通すことによって野菜の甘みが増していて、美味しいです。塩気があるからこそ白米が引き立ててくれるんですね」

 最近箸使いがうまくなってきたクロム。白飯に味噌味鮭を乗っけてほおばり、かみしめている。