悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「そうだわクロム。あなたちょっと手伝ってくれる? 実は男性用のジャージも試作してもらっているので、あなたもジャージを着て踊ってくださいな。マダム・ソアラに着心地と使い勝手を伝えて品質向上をはかるのです」

「こ、これを俺が着るんですか……」

 クソダサいから着たくないと顔に書いてあるね、弟よ。

 あえて口に出さないところは、さすが貴族の紳士。

 姉に勝てない性格なようで、しぶしぶながらも着てくれた。

「とっても似合うわ。さすがクロム。何でも着こなせるのね」

「ありがとうございます」

 全然嬉しくなさそうに答える。

 こんなに動きやすいのに。

「さぁ、レッツダンシング!」

 クロムと組んでダンスレッスンを続ける。

 クロムが目を見張る。

 さっきまでタキシードだったから、動きの違いを実感しているようだ。

「ジャージとはこんなに伸縮性があるのか。どんな体勢でもきつくない」

「そうでしょうそうでしょう!」

 これを国に広めて、ジャージを文化にすれば私がジャージでいても目立たない。

 よきかな。

「お嬢様、ミーティア伯爵令嬢がいらしています」

「通して」

 今日もミラが遊びに来てくれた。

「ごきげんよう、お姉様、クロム様。わたくし、お姉様を見習って料理をしてみましたの。味見をしていただきたくて持ってきました」

「いらっしゃい、ミラ様。ちょうどよかったわ。休憩にしましょう」

 テラスに出てテーブルにお茶が用意される。使用人の皆さんいい仕事してる。