悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 一週間の見回りを終えて、夕刻に屋敷に帰ってきた。
 乗馬でちょっとは痩せた気がする。うん、たぶん、きっと、当社比で。

 帰りしな、領民が
「どうぞ、領地の川で捕れた魚の干物です。召し上がってください」
 と川魚を献上してくれたのでありがたく料理に使うよ!
 サーモンだ!
 村上鮭みたいな、口のとこが紐でくくられている。
 塩がいい感じに馴染んでいる。最高じゃないか!

 一直線でマイ調理場に走り、台に塩鮭を乗せる。

「ホーホッホッホッ! せっかくの領民の心、いただかないわけにはいかないわ!」
「姉上、もっともらしいことを言って食べたいだけですよね。ほどほどにしないとまた母上からお叱りを受けますよ」
「そんなこと横に置いとくのよ。いいクロム。他の男と差をつけるなら、ミラが好きな食べ物を作るの!」
「な、なぜ俺に言うんです」

 ミラの前だと挙動不審になるから、好意がだだ漏れなんだよ。
 ミラには気づかれていないみたいだけど、ミゲルやヨイ、コリンは「はよ告白せいや」くらいの目で見ている。