悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 私は会場を手のひらで示して弟に言う。

「くふふふふ。クロム。見なさい。ジャージの時代が来たわ!」
「……気味の悪い笑い方をしないでください姉上。まさかここまでジャージが増えるとは。俺は悪夢を見ているんじゃないですよね」
「ジャージをGみたいに言わないでよ」

 ここにいる四割がジャージだから私がジャージでも目立たない。むしろ溶け込んでいるわ。
 やはり貴族にも動きやすい服装は受けるんだ。

 テラス側にいたミラとミゲルが私達に手を振る。

「クリティアお姉様、クロム様、ごきげんよう。お姉様は今日のジャージもよくお似合いですわ! 教会にある聖女様像の姿そのものです!」
「あ、はは……。ありがとう? ミラもすごく似合っているわ。天使みたい」
「お姉様にそう言ってもらえるなんて、嬉しいです」

 ミラの中のクリティアが神格化されすぎて、もはや誰の話なのかわからない。
 私は聖女じゃなくてただの酒好き干物よ。