悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 母上、実はすごく笑い上戸らしい。
 普段の淑女のお手本みたいなキリッとした様子はどこへやら。
 片手にお猪口を持ち、ケラケラ笑いながらクロムの肩を叩く。

「次があるからがんばりなしゃい、クロム。ミーティアのミラ様なんてあなたと相性がいいんじゃないかしらね、ほら、ダイコンと鶏だんごみたいなもんでー、あなたがダイコン。わかるー?」
「わかりません」

 意味不明なことを言い出した。
 もしかして母上が私に酒を飲むなっていうのは、これが遺伝してないか心配だからですかね。目も当てられないくらいの絡み上戸。
 クロムは絡んでくる母上をやんわりかわして、私に真顔で訴える。

「姉上。母上にお酒を飲ませるのはオススメしません」
「そのようね」

 母上は侍女のみんなに寝室まで連れて行ってもらった。
 翌朝、酔っぱらっている間のことを何も覚えていなかったから、母上の名誉のためにも酔っている間のことは教えないことにした。