悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 最近涼しい日が増えてきたから、我が家の専属仕立て人マダム・ソアラに依頼してハンテンを作ってもらったわ。
 毛皮のコートなんてお高いもの、汚すのが怖くて普段着にできないじゃない。

 我が領地、海も鉱山もないけれど、土がいいから野菜を始めとした作物がよく育つ。
 綿花も多くとれるから、特産品の一つとしてハンテンを売り出してみることにした。

 ふかふかの綿が詰まっていて、肌寒い日にはこれがあればあたたかく過ごせる。

 ジャージにハンテン、ちゃぶ台と座布団。
 実家のような安心感。
 ときおり火にかけた鍋のフタをあけて、様子をうかがう。

「うんうん、いい感じに煮込めているわ。いったん火を止めましょう。冷めるときに味がしみていくのよね〜」

 鍋の中身はおでんだ。
 この世界にはいわゆるポトフがあるけれど、ニンジンと玉ねぎとウインナーで煮たトマトスープだ。
 ポトフはポトフで美味しいけど、私が晩酌で食べたいのはおでんだ。

 フローレンス領の大根、ニンジン、ゆでたまごに焼き鳥。そしてヨイにもらったタコ足。小魚はすり身にしてカマボコを作ったよ!
 ウインナーと鶏つくねも入れたから、大根は出汁が染み込んでいい色になっている。
 醤油もいい仕事してる。