悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「お姉様、わたくしも見習いますわ。貴族の娘だから料理は料理人任せでいいなんて、古い考えなのかもしれません。いつ何が起きてもいいように、わたくしも料理の技術を身につけましょう」

 ミラの両親と使用人一同がむせび泣く姿が見える気がするよ。

 うちの使用人たちですらこの反応やぞ。

「クリティアお嬢様。ロブソン男爵からお手紙が届きました」

 前回のロミオメールの件でお父上に抗議文を送っておいたから、謝罪の手紙かな。

【マイスイートハート・クリティア
 父上からはもう君に近づくなと言われたけれど、僕と君は運命で結ばれた者。求め合う二人の愛は誰も邪魔できないよ。
 愛は障害が大きいほど燃えるとはよく言うけれど本当だね。
 僕の愛はこの国の国土よりずっと広く大き……】

「相思相愛じゃない!!!!」

 ポエムの束をテーブルに叩きつける。

 あいつ反省してねぇ。

「な、何が書いてありましたの?」

 ミラに渡すと、ミラは紙束に目を走らせて震えた。

「もう婚約者でなくなったお姉様にこのようなゴミを送りつけはじめるなんて……嘆かわしいですわ」

「……ミラ様のところに連日届いていたんですものね」

 ポエムの元被害者から手紙を受け取って、キッチンの火にくべる。

 紙質がいいからよく燃えるわー。