悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 七輪の前で小躍りするコリン。
 この子はオシャレ女子目指して上京したけど、田舎っ子が隠しきれてなくて可愛い。妹にほしいタイプだ。

 醤油が焦げるとき特有の香りが調理場にただよう。

「よし、焼きとうもろこし完成!」
「わーい! いただきまーす!」

 焼き立てアツアツにかぶりつく。

「ウマー!!!!」
「おいしー!!」

 表面に焦げ目がついてクシュクシュしてるのがいいよね。歯に挟まるのも含めて良き。

 食べ終わる頃にご飯も炊けた。
 甘い香りがしている。

「蓋を開ければ、はい完成!」

 とうもろこしの芯は取って、バターを載せる。炊きたてだからすぐに溶ける。しゃもじで全体にまぶして、器に盛り付ける。

「さ、食べましょうコリン」
「わぁ。おいしそー! ありがとうクリティア!」

 コリンはお箸を持って幸せそうな顔をして食べる。

 私も自分のぶんを盛り付けていただく。

 とうもろこしの甘みと塩気、バターの香りが互いを引き立てあって、うまい!

「ねぇねぇ、おかわりしていい?」
「いいわよ。コリンがとうもろこしを持ってきてくれたんだから、コリンはたくさん食べる権利があるわ。たくさん食べて大きくなりなさいな」
「わーい!」

 3合炊いたけど空っぽになった。さすが成長期。いい食べっぷりだ。

 お鍋を洗っていると、ジーニャがお客様を連れてきた。
 赤毛の若い男だ。

「クリティア・フローレンス! オレと勝負しろ!!」

 誰やコイツ。
 舞踏会で見たことある気がしないでもない。

「えーと。コリン、この人誰?」
「ゲームの攻略キャラでミラの幼馴染みのツンデレ騎士見習い、アーティ」
「わかりやすい説明をありがとう」

 言われてみれば顔は整っているからモブではない。