「ミゲルも、バーベキューというのが何かわかるの? なら、ミゲルとコリン様の二人にバーベキューの準備をお願いしてもいいかしら。わたくしたちは別のものを用意します!」
「え、こいつと二人? やだよこんな我の強い女。おれのこと労ってくれるタイプじゃないし。せめてそこの料理人さんをつけてよ」
「こっちこそあんたと二人はお断りよ。なんかあんた、いかにも料理できない人っぽいんだもん。人に何かしてもらってばかりいるタイプに見えるし。お祝いのバーベキューが炭の量産会場になるわよ」
これはロマンス小説によくある、『いやよいやよも好きのうち、つんでれ』と言うやつかしら。がんばるのよミゲル。
わたくしとヨイ様、クロム様とカイン王子で他の料理を用意します。
「さっきミゲルが言ったようにさ、クリティアって肉料理を作るのが好きだよね。肉の唐揚げを作るのはどうかな。とり肉とか、あとはチーズでも美味しいかもしれない」
「確かに王子の言うとおりですわね。唐揚げはタコ以外でもできそうですわ」
「姉上が喜びそうです。あとは、おにぎりを用意するか。母上も今日ばかりは何も言わないだろうし、いろんな種類を用意しよう」
というわけで、手分けしておにぎりととりの唐揚げを作りましょう!
タコの唐揚げを作り慣れたヨイ様がおりますから、とりにも同じように臭み消しのお酒をもみ込んで、塩を振って、衣をつけて、いざ熱した油の中へ!
「どうかしら。揚げ加減は」
「タコのときはパチパチ油の音が変わってきたら火が通った証でしたわ」
じっくり揚げて、一つ切ってみます。
中はしっかり火が通っています。
ひとつ試食を。
「はふ! おいひいれすわ! これならお姉様も喜んでくださるはず!」
「ぼくもこれ好きだな。この調子でたくさん作ろう!」
クロム様もおにぎりを多めに用意してくださいました。姉君の料理をいつもみているからでしょう。とっても手際が良いのです。
バーベキュー組はどうなったかといいますと。
「ちょっとミゲル。カボチャを厚く切りすぎよ! そんなんじゃ焼くときに火が通らないじゃない!」
「えー。生で食えるからいいじゃん」
「良くないわ!」
コリン様に叩かれています。全然作業が進んでいません。
「ちょっとあなたたち何をしているの?」
クリティア様が帰ってきてしまいました。
パーティーの準備が終わっておりませんのに!
「クリティア助けてー。ミゲルがー」
「はいはい、コリン。涙を拭きなさい。これは何を作ろうとしていたの?」
「クリティアの誕生日だからサプライズパーティーをしようと思って、バーベキューを作ろうとしたの」
もう隠せるはずもないのでコリン様はすべて打ち明けます。
「そうなのね。ありがとう皆。バーベキューってみんなで作るのも含めて楽しいから、今から私も参加していいでしょ?」
ここで怒らないのがクリティア様ですわ!
「もちろんです、お姉様」
「それじゃあ肉はもう切ってあるようだから、ミラ様、ヨイ様はこの肉を串に刺してくださる? カイン王子とクロムは硬い野菜を薄めに切るのを手伝って」
「いいとも。ぼくに任せてくれ」
「はい。俺もがんばります」



