悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 開き直って包丁を持つ。

「お姉様。何を作るんですの?」

「トンカツというか、串かつを作ろうかと思います」

「とんかつ……」

「こっちでいうコートレットに似ていますわね。かけるのはホワイトソースではないけど」

 一応、ここにはトンカツに似たような料理、コートレットがある。

 むしろコートレットが起源か。

 フライパンで焼き上げた羊肉のカツレツに、玉ねぎやミルクで作った洋風ソースをかける。

 ナイフとフォークでいただくオサレなやつ。

 この地域で育てられている豚、フロー豚のロースを二センチ幅くらいに切り分けて塩と胡椒を振る。

 小麦粉をはたいて串に刺して、溶き卵を絡ませパン粉をつける。

 油を熱した鍋にイン!

 こんがりきつね色になるまで待つ。

 ジュワジュワと小気味いい音がする。

 なんていい香りなんだ。

 調味料棚に並んだものを少しずつ味見して、ウスターソースに似た風味のソースがあったからそれをかける。

 阿鼻叫喚だった使用人たちが恐怖の顔から一転、ワクワクした顔に変わる。

「さぁ出来ましたわ。串かつよ! ミラ様もどうぞ」